この記事ではヴィーガンの犬の栄養学専門家が公開している、手作りごはんの基本的な考え方や食材についてご紹介したいと思います。

栄養バランス
1日に必要なカロリーと、三大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物、マイクロ栄養素であるビタミン、ミネラルがバランスよく配合されていることが、長期的な健康を維持するのにとても大切です。
手作りの場合、栄養バランスが崩れがちになるのは、栄養素のバランスがきちんと計算されていないことや、同じ食材を使いがちで、必要なビタミンやミネラルが中長期的に不足することが原因であることが多いようです。
栄養バランスをおさえて、ビタミン・ミネラルが不足しないように手作り用のサプリメントの添加をすることで、手作りごはんでもバランスの取れた十分な栄養をとれると専門家はいいます。
新鮮な植物ベースのごはんを与えることによる健康効果の高さは、様々な研究によって示されています。ご興味のある方は、洋書にはなりますが、ぜひ後述する書籍をご一読ください。
1日に必要なカロリー
わんちゃんの体質や運動量などにより、必要なカロリーは変わりますが、基本的な計算方法は以下の通りです。
RER (Resting Energy Requirement) 安静時エネルギー要求量
= (30 x 犬の体重) + 70
DER (Daily Energy Requirement) 1日に必要なエネルギー要求量
= RER x 係数

AAFCOが定めている最低限必要なタンパク質と脂質の求め方は以下の通りです。
タンパク質:45g x DER ÷1000
脂質:13.8g x DER ÷ 1000
例えば、5キロの去勢済みの成犬であれば、
1日に必要なカロリー(DER) =
((30 x 5) +70)x 1.6 = 262 kcal
1日に最低限必要なタンパク質 =
45g x 262 ÷1000 =12g
1日に最低限必要な脂質 =
13.8g x 262 ÷1000 = 3.6g
となります。
室内犬で、あまり運動をしない現代の犬の場合、この計算式だとカロリーが過剰になる傾向にあるように思いますので、あくまで目安として、体重やうんちの変化をみて調整が必要になります。
現在ドライフードを与えている方は、グラム数からカロリーを計算してみてください。
平均的に1gあたり、3~3.5kcalくらいですが、商品によって違うため、袋に記載されている情報をご参照ください。
カロリーベースでの食材グループの割合
以下の表は犬の栄養学専門家のダイアナ氏が出版した著書に基づく、グループごとの食材と理想の割合値です。(書籍の詳細は後述)
この表を参考に食材を配合すると、先ほど計算した最低限必要なタンパク質と脂質はクリアできます。
食材グループ | 食材の例 | カロリーあたりの割合 |
たんぱく源 | まめ類、豆腐、テンペ | 50%-70% |
脂質 | ナッツバター(アーモンド、カシュー、ピーナッツ)、シード類 | 15%-30% |
でんぷん質の野菜と穀類 | さつまいも、かぼちゃ類、キヌア、オーツ、アマランサス、そば | 10%-20% |
でんぷん質でない野菜 | ブロッコリー、ニンジン、ケールなどの緑黄色野菜 | 1%-10% |
くだもの | ブルーベリー、クコの実、バナナ、りんご | 0%-3% |
その他 | ハーブ、スピルリナ、ニュートリショナルイースト | 少量 |
ダイアナ氏によると、この範囲内に収まるように計算をしてあればよく、たまにはみ出してしまっても過剰に気にすることはないといいます。
人間と同じで毎日完璧な栄養計算が必要なわけではなく、長い目でみてバランスのとれた食事を心掛けることが大切としています。(しかし、ビタミン・ミネラルが不足しないようにサプリメントを添加することが強く推奨されています。※)
最初は素材ごとにカロリーやタンパク質と脂質を計算する必要があり、少し手間はかかりますが、一度そのやり方を覚えてしまえば、効率もあがり、バリエーションも増えて楽しくなってくると思います♪
とはいえ、自分で栄養計算をするのは大変という方のために、Liviveensでは海外の専門家の意見を取り入れ、栄養基準を満たすように計算をしたレシピを共有していきます。ご参考になれば幸いです。
(※)海外ではいくつかのヴィーガン用サプリメントが流通していますが、日本ではまだ市販されていません。LiviveensはドイツのヴィーガンドッグフードブランドVegDogのサプリメントを卸価格で購入することで、手の届きやすい価格での販売が可能となりました。小型犬の多い日本用に、少量から販売していますので、ご興味のある方はご検討ください。
サプリメントの詳細はHPのSHOPページをご覧ください:)
先述した本の題名: The Plant Powered Dog
著者名:Diana Laverdure-Dunets, MS
科学的な根拠を網羅しながら、分かりやすく栄養学と手作りの方法、病気への対処の方法をまとめてくれていますので、詳しく勉強したい方にはとてもおすすめです。
